今回は弊社の製作段階の中で、最も基礎的な「板材の加工」についてお話させていただきます。
ランニングソー
製品の大部分の割合を占めるパネル状の木材は、まずだいたいの寸法にスピーディに切り分ける作業から始まります。
これはランニングソーと呼ばれる、コンピュータ制御された大きな切断機を使います。
名前にランニングという言葉がついている通り、ソー、つまり丸ノコの方が走って素材を切るものです。パーティクルボードやMDFや合板の切断に向いており、動画のように幅が3メートル、厚さが5センチもあるような板材を、素早く正確に切り分けていくことができます。
この時点で寸法のミスがあると、大量に無駄な素材が出る恐れがあります。
しかしこのランニングソーは、お客様からの受注データと連動しているため、ミスは最小限に抑えることができます。
テノーナ
次に、素材をもっと正確な寸法で仕上げるテノーナという切断機を使います。
テノーナはランニングソーなどでラフカットした木材の幅を、注文された寸法に正確にカット(正寸カット)するだけでなく、組み立てる際に必要な溝や、シャクリなどの特殊な形状の切り込みを入れるなど、重要な加工ができる機械です。
弊社では複数のテノーナの作業ラインを設置しており、幅を正寸カットするのみのライン、長さも整えることができる別の機械とセットで使うラインなどがあります。
テノーナの刃について
テノーナの刃はいくつかのタイプがあって、素材や要求された加工によって使いわけなければなりません。
超硬、人口ダイヤ等の素材の違い、刃物形状の違いも含めると、その種類は膨大な数になります。
刃を交換・セットするときの工程では、ネジひとつとっても押して締めるか引いて締めるかなど、やや知識が必要になります。
また入念に試し切りを行い、切り口を見極めて調整を繰り返すなどの熟練が必要になるので、機械任せで誰でもできるというわけではありません。
「この素材でこの長さを切っていくとどの程度の摩耗が起こるか、刃の交換はどのタイミングか」などが判断できる、経験豊かなスタッフが現場に当たっています。
このテノーナのすごいところは、なんといっても「誤差がないに等しい」ところ。
刃の状態を保てば、誤差はプラスマイナスゼロでカットできるのが自慢です。
刃は、実は上下に一枚ずつ設置されています。
上下の刃が同時に動いて、板を挟むように切っていくんですが、この切れ目の誤差がほとんどないということなんですね。
刃が上下2枚ある理由は、切り口をより美しくするため、特に「バリ」を出さないためです。
板を一方方向から切ると、刃を抜く方向に表面の化粧シートが剥がれたり、素材の繊維が飛び出てしまう。これは見苦しいだけでなく、小さく尖っているので人体にも大変危険なものです。
弊社の製品は、テノーナで板の両面から刃を入れることで、その「バリ」をほとんど出さないよう仕上げていきます。
お客様の元に届き設置されるとき、また住居やオフィスを構成する装置として使っていただくときに、まずは人に安全なものを、そして美しいものを、との配慮は欠かすことができません。
そのための刃の交換や、機械の手入れには十分な注意を心がけています。
安全で品質の良い製品を提供するために
広い工場内の清掃はもちろん毎日行っており、また週に一度の機械本体の点検を欠かさずに行っています。
清掃、点検や機械の磨きこみを行うことで、製作中や製作中には見つけられない油漏れや、不具合の発見が必ずあるものです。
弊社社員のこうした習慣が、製品のもっとも基本的な安全性と品質管理に繋がっていると考えています。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。
今回は動画や写真をご覧いただきながら、制作過程の最も基礎的な工程、「板材の加工」についてお話させていただきました。